科学基礎論研究室
【担当教員】松王政浩(教授)
科学哲学を「学ぶ」「探る」、そして「活かす」へ
科学に対して、何がその知識と方法の最も基礎にあるのかという、分野を超えた問いを投げかけることができます。これまでこの問いに興味をもった人たちによって科学哲学という分野が築かれてきましたが、今日、科学哲学は狭い哲学的興味だけでなく、諸科学のどのような認識的根拠が科学の社会的受容にとって十分かという、より実践的な興味からも探求されています。私たちの研究室は、こうした拡がりを見せる科学哲学の視点や方法に基づいて、メタ科学研究に取り組みます。
研究テーマ
1.実在論と反実在論の今日的問題
科学理論は「実在」を捉えているか否かという長い論争が科学哲学にはあります。昨今のコンピュータシミュレーションの台頭で、再びこの論争に火が付いています。社会的影響の大きい予測科学の信頼性をどう測れるのか、実在論論争を切り口として考えます。
2.リスクアセスメントにおける価値判断
専門家によるリスクアセスメントの不確実性に、社会はどう対処すればよいのか。「科学は価値中立か」をめぐる科学哲学の議論を手掛かりに科学者の境界的な認識を明らかにし、この問いに応えていきます。その他リスク問題には、モデル選択基準の問題、リスク認知と確率の問題など科学哲学的問題がたくさん埋もれています。
3.コアな科学哲学(物理哲学)の問題、倫理的な問題
その他、当研究室では、ベイズ主観説の哲学論争や、時空の関係説的な再構築など、科学哲学のコアな問題に取り組んだり、科学哲学をベースにしつつ、科学者、技術者の倫理的態度に踏み込んだ研究も行っています。
- 科学方法論
- 実在論論争
- 予測科学
- リスク
- 科学の不確実性
- 科学の価値中立問題
- 確率解釈
- 統計の哲学
- 科学者(技術者)倫理